正しさは、誰かが決めるものじゃない。あなたが選んだ、それが答え。

論理の変遷と社会的背景の呼応【第2回】(ドライブクラブとの比較)

ドライブクラブはカーシェアリングに似ている?
あなたの“選択の日”のために

前回の記事では、レンタカー業者に運行供用者責任を認めた判例を記載しました。

次に、今回の判例が最終的にドライブクラブ方式の判例とは異なり、業者の責任を認めたことについて、徹底的に構造比較をしていきます。

まず最初にドライブクラブについて説明します。

ドライブクラブとは・・・

会員制で車を貸し出す業者の事。会員は会費を払ってクラブに所属し、必要なときに車を借りる仕組みであった。

レンタカー業者が一般向けに広く車を貸し出すようになると、より柔軟で分かりやすいレンタカーの方が利用者に選ばれるようになった。

ビジネス的には「利用者にとってメリットが薄い」「責任の所在が曖昧」という構造的欠陥があった。

結果として、レンタカー業に吸収されるように消えていった。

レンタカー業の方が合理的で社会的に支持されたため、自然淘汰された形といえる。

運行供用者責任について

ドライブクラブ方式と今回の判例を比較する上で起点となるのは「運行供用者責任」というワードです。

当サイトでもわかりやすく説明しているのでご一読を。

運行供用者責任について深く掘り下げた記事はこちら

裁判所から見た両者の違い

ドライブクラブ案件とレンタカー業者案件の違いは「運行支配・運行利益の有無」にあります。ドライブクラブは会員に車を貸すだけで、業者側に運行の管理や利益が直接帰属しないと認定されたのに対し、レンタカー業者は契約条件や整備責任を通じて運行を間接的に支配し、賃料収入という利益も得ているため、裁判所は責任を認めやすくなったのです。

ドライブクラブ案件(昭和39年判決)

  • 業態:会員制クラブが車を貸し出す方式。
  • 裁判所の認定
    • 借主が運転している間、クラブ側は運行を指示・制御できない。
    • 利益も「会費収入」であり、運行そのものから直接得ているわけではない。
  • 結論:運行支配も運行利益も欠ける → 自賠法3条の「運行供用者」に当たらない。
  • 特徴:クラブは「車を貸すだけ」で、運行に関与しない点が強調された。

レンタカー業者案件(今回判例)

  • 業態:レンタカー会社が短期契約で車を貸し出す。
  • 契約条件:免許証確認、使用時間・行先指定、変更時の連絡義務、整備責任など。
  • 裁判所の認定
    • これらの条件により業者は「間接的に運行を支配」している。
    • 賃料は走行距離や時間に応じて徴収 → 運行そのものから利益を得ている。
  • 結論:運行支配・運行利益あり → 業者は運行供用者責任を負う。

次に、両者の構造を並べて比較します。結論だけが違うのに、構造は驚くほど似ていることが見えてくるでしょう。

違いの骨格(判例の結論)

区分ドライブクラブレンタカー業者
運行支配借主が自由に運転、クラブは関与なし契約条件・整備責任で間接的に関与
運行利益会費収入(運行と直接結びつかない)賃料収入(運行そのものから発生)
結論責任否定責任肯定

新たな問い

上記図表、結論だけは違うのに、構造が似ていると述べました。具体的に3点ほど上げてみます。

1.両者とも利用者が車を借りている点

2.利用者が運転している点

3.業者が収入を得ている点

しかしながら、裁判所は全く別の結論を出している。

ドライブクラブでは運行供用者責任を否定、レンタカーでは運行供用者責任を肯定しています。

この構造に違和感を感じるのは私だけではないはず・・・。

ここで、新たな問いが立ち上がります。

結論先行で後から論理構築をしているのではないか?というものです。

この考察を含めて、改めて図表を提示します。

不自然な違い──レンタカー判例とドライブクラブ判例

観点ドライブクラブ判例
(昭和39年)
レンタカー判例
(昭和50年)
コメント
契約形態会員制。会費を払って所属し、必要時に車を借りる賃貸借契約。免許確認・行先指定・賃料前払いどちらも「利用者が車を借りる」点では同じ構造
運行支配クラブは会員の運転を制御できない → 支配なし業者は契約条件や整備責任を負う → 支配あり実質的にはどちらも「直接運転は利用者」なのに結論が分かれる
運行利益会費収入は「所属権利の対価」であり運行利益ではない賃料は走行距離・時間に応じて徴収 → 運行利益あり会費も賃料も「車利用から得られる収入」なのに、裁判所は片方を否定、片方を肯定
結論運行供用者責任を否定運行供用者責任を肯定構造は似ているのに結論は真逆
不自然さ利用者から見れば「車を借りる仕組み」としてはほぼ同じなのに、裁判所は違う結論を導いた→ 結論先行で論理を組み替えているのでは?

会費収入と賃料収入の違いは本当に構造的な差なのか、それとも裁判所が結論を導くための方便なのか?

そしてなぜ、裁判所は両者の結論を変える必要があったのか?

次回は、この問いをさらに深掘りし、時系列で判例を追いながら「論理の変遷と社会的背景の呼応」を明らかにしていきます。

保険の話ばかりじゃ疲れますよね。かつて猫と暮らし、2.7万人と語り合った日々もありました。よかったら、そちらものぞいてみてください。

律空
この記事を書いた人
保険業界での経験を活かしながら、現在は別業界の会社員として働いています。 守秘義務を大切にしつつ、あなたにとって本当に役立つ情報を、ゆっくりと丁寧に届けていきます。

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