保険募集人資格とは?【第3回】Deep researchレポート1
保険募集人資格とは?【第2回】保険募集人資格の“更新”って、なにを守ってるんだろう?
ダイレクト型・代理店型のいずれかに関わらず、包括的なリスク管理のためには「補償の地図=マッピング」が有効です。保険制度設計論でも、補償ギャップ(補償の空白地帯)の地図化・可視化が政策課題であるとされています。
| ケース | 空白地帯の理由 | 補償可能な制度/特約 |
| 無保険車事故 | 相手が無保険・自賠責未加入 | 無保険車傷害特約、人身傷害特約、政府保証事業 |
| 過失相殺 | 自分に過失があるため賠償減額 | 人身傷害保険(過失相殺なし) |
| 自損(単独)事故 | 加害者本人のケガは自賠責で不補償 | 人身傷害保険 |
| 示談未成立 | 無保険・交渉不成立で補償未決着 | 人身傷害保険(先行支払い) |
| 家族の歩行中・自転車事故 | 家族の歩行中事故までは標準補償外(特約必要) | 人身傷害保険(車外補償型)、特約 |
このようなマッピングは、補償される・されない領域を明確にし、ダイレクト型特約でも”何を足さなければいけないか”を自分で把握する上で役立ちます。
・ “顔”=自賠責・対人・対物賠償など、社会制度としての最低限カバー(表層構造・義務部分)
・ “骨”=人身傷害保険や車外補償特約、無保険車傷害などで空白地帯=不可視のリスクをカバーする本質部分
保険の本当の価値は、“顔”だけでなく“骨”をどれだけ堅牢に作れるかにある。特にダイレクト型加入者は「自分で骨組みを設計する」ことを求められるという自覚が不可欠です。
みのりさんのnote記事(本サイトではこちらで紹介)は「事故後に補償トラブルが起きて困った実例」「自分の保険で人身傷害保険が先行支払いされる流れ」など“事故後・現場の肌感覚”を丁寧に描写しています。
本稿は、それらの実例を「制度設計」「補償の断層」「補強・骨組み」の視点から地図化・可視化し、どのような構造リスクがあって、その“穴”を人身傷害保険がどう埋める(堅牢化する)かという上位レイヤーの戦略論を提示します。
・ 実体験と構造設計のクロス:
個々の事故経験、補償トラブル、示談ステージでの葛藤(みのりさん記事)を、社会制度・保険設計・等級制度・ノーカウント事故設計など“仕組みの全体図”で補完(本記事)。
・ 二つの記事で「体系と現場」の両輪が揃う:
現実に起こりうる事例が「なぜそんな空白地帯が生じる設計になっているのか」「どうやって骨組みで守るべきか」=両面読解で理解が深まる。
・ 契約者一人ひとりが自分の補償の“地図”を描けるようになるヒント集:
事故が「他人事」ではなく「制度の落とし穴次第で自分も当事者になる」こと、その“抜け”を人身傷害保険のような骨組みで埋め直す意識を身につけるきっかけ。