正しさは、誰かが決めるものじゃない。あなたが選んだ、それが答え。

「おとなの自動車保険」広告コピーと現実の保険料構造の乖離【第2回】──事実ベースで“顔”と“骨”の差を淡々と見つめる

あなたの“選択の日”のために

保険料の設計ロジック──統計的背景と年齢層別の保険料設定

年代別事故発生率の客観データ

自動車保険の根幹は、事故リスクの高低をどう定量的に織り込むか、という点に集約される。日本の交通事故統計によれば、20代は免許保有者10万人あたりで0.4~0.6%という事故率を記録する一方、40代になるとこの数字は0.3%を下回る。これは警察庁・内閣府の近年の公表データにも明瞭に現れている。

この傾向は、自動車保険会社が公表している平均事故率等の情報とも合致する。40代は運転経験の蓄積や危険予知スキルの向上によって、本質的に事故リスクが低下している世代であり、この“リスク層の変化”こそが、保険料算定に大きな影響を与えている。

年齢条件特約と等級制度の併用

ダイレクト型・代理店型を問わず、日本の自動車保険では「年齢条件特約」を用いて、大雑把に以下のようなカテゴリーで契約者を区分している。

・ 全年齢補償(18歳以上誰でも対象)

・ 21歳以上補償(21歳未満は対象外)

・ 26歳以上補償(26歳未満は対象外)

・ 30歳以上補償 or 35歳以上補償(会社による)

この条件に応じて、保険料は劇的に変化する。例えば、21歳未満は最も事故率が高いため割増が大きく、30歳以上や35歳以上で大幅な割引が働く。保険会社ごとの違いや「本人・配偶者限定」「家族限定」等の運転者限定条件もかけ合わせて、さらに細分化される。

加えて、事故歴のない“優良ドライバー”であれば等級(ノンフリート等級)が上がり、20等級になると最大で60%以上の割引率に到達することも珍しくない。

統計的に「割安な世代」は全社共通なのか

多数の資料が一致して示すのは、保険料が最も安く設定されるのはおおよそ「35歳以上」または「30歳以上」の契約者である、という事実である。この区切りの背後には、上述の事故率の変化がある。そしてこの料率設計の根拠は、各損保会社が独自に判断しているわけではなく、「損害保険料率算出機構」が定める「参考純率」「型式別料率クラス」に沿って設定されている。

個々の保険会社が商品として“売りやすい条件”を設定する自由はあるものの、年齢や型式による料率のベースは全社共通であり、その差は周辺的な割引・特約の違いや付帯サービス程度にとどまる。その意味では、「40代・50代になるとみんな安い」は統計的にも商品設計上も“どの会社でも同じ現象”なのだ。

保険の話ばかりじゃ疲れますよね。かつて猫と暮らし、2.7万人と語り合った日々もありました。よかったら、そちらものぞいてみてください。

律空
この記事を書いた人
保険業界での経験を活かしながら、現在は別業界の会社員として働いています。 守秘義務を大切にしつつ、あなたにとって本当に役立つ情報を、ゆっくりと丁寧に届けていきます。

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