
2025年9月20日
書類送検とは、警察が捜査を終えたことを検察に伝える制度的な処理である。
それは、逮捕や起訴とは異なり、制度内部の“儀式”に近い。
特に被疑者が死亡している場合、送検は「形式的な終わり」を意味するだけで、実質的な変化はない。
・ 捜査の完了を示す制度的な区切り
・ 検察が不起訴処分を下すことで事件が制度的に完了
・ 遺族対応や保険処理のための記録性の確保
今回の書類送検の報道は、事故時のセンセーショナルな映像とともに伝えられた。
その結果、2か月も前の出来事であるにもかかわらず、現在進行形の重大事故が起きたかのような印象を与える。
事故の悲惨さを強調することはできるが、冷静に見れば、これは制度的な儀式が静かに完了しただけの話である。 速報性を強調する報道の語り口は、制度の内部処理を“社会的事件”へと変換する演出にも見える。
このズレは、制度の“顔”と“骨格”の乖離を示している。
制度は静かに処理を終えただけなのに、報道はそれを社会的イベントとして演出する。
その結果、私たちは「制度に守られている」と感じる一方で、「制度に従わされている」空気にも包まれる。
・ 顔は演出され、骨格は見えにくい
・ 報道は制度の顔を強調する共演者
・ 私たちは、制度の演出に“だまされた感”を抱くこともある
書類送検は、制度の静かな儀式にすぎない。
だが、報道はそれを“重大事故”として演出する。
私たちは、制度の顔に触れているのか、それとも演出された空気に包まれているのか。
それを問い直すことが、制度の骨格に目を向ける第一歩かもしれない。