
2025年9月16日
水没した車の前では、感情も制度も沈黙する。
けれど、保険契約の有無は、沈黙のあとに金額という現実を突きつけてくる。
車両保険なし:沈んだ車と、生活費の直撃
水没した車は、ほぼ廃車。修理不能。
その場合、買い替え費用はすべて自己負担になる。
車種 | 年式 | 想定買い替え費用 |
トヨタ・アクア | 2018年式 | 約90~120万円 |
ホンダ・N-BOX | 2020年式 | 約70~100万円 |
スズキ・ワゴンR | 2015年式 | 約40~60万円 |
トヨタ・アルファード | 2022年式 | 約300~500万円 |
さらに、レッカー代・廃車手続き・代車費用なども加算される。
生活再建までにかかる総額は、100万〜600万円規模になることもある。
車両保険あり(一般型):制度が“浮き輪”になる
オールリスク型の車両保険に加入していれば、
水災による全損でも契約時の車両価額まで補償される。
例:アクア(車両価額90万円) → 水没 → 保険金90万円(免責5万円なら85万円)
ただし、保険金が出た後には翌年の保険料アップという“代償”がある。
保険料の変化 | 年間保険料(例) | 差額 |
通常契約 | 約10万円 | - |
事故あり契約 | 約15~16万円 | +5~6万円 |
つまり、保険金を受け取ったあとに、制度が“回収”に入る構造になっている。
沈むか、浮かぶか──その分岐は契約書の一行
車両保険の有無は、
「水没したあとに、制度が手を差し伸べるかどうか」を決める。
地下に停めるという選択が、
制度の“深さ”まで読んでいたかどうかを問われる瞬間になる。
次項では、地下駐車場という“構造的リスク”がなぜ制度に沈められているのか──
その見えない設計思想に迫ってみよう。